いつもの日々に彩りを - 簡単な「楽しみ習慣」の作り方
はじめに
日々の暮らしの中で、「何だか時間が過ぎるのが早く、特別な変化がないな」と感じることはございませんか。特に、それまで忙しく過ごされていた日々から少し落ち着いた生活に入られた場合、毎日のリズムが変わり、なんとなく単調に感じてしまうことがあるかもしれません。
そのような時、無理なく生活に小さな彩りを加える方法として、「小さな楽しみを習慣にする」という考え方があります。大げさなことではなく、普段の生活の中にほんの少し、「これが楽しみ」と思える時間を取り入れることで、日々の暮らしが少しだけ豊かに感じられるようになります。
この記事では、今日からすぐに始められる、簡単で手軽な「楽しみ習慣」の見つけ方と、それを無理なく日々のルーティンに組み込む方法をご紹介いたします。
小さな楽しみを見つけるヒント
「楽しみといわれても、特に思いつかないな」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、特別なことである必要は全くありません。子どもの頃好きだったこと、ふと思い出す懐かしい出来事、あるいは普段何気なく目にしているものの中に、小さな楽しみの種は隠れています。
以下のような視点で考えてみると、何か見つかるかもしれません。
- 過去の自分を振り返る: 若い頃、学生時代、お仕事されていた頃など、夢中になったことや、やっていて楽しかったことは何でしょうか。もう一度始めてみるのは難しくても、関連する本を読んでみる、写真を見るなど、当時の気持ちに触れるだけでも良いのです。
- 身近な場所、身近な物: 自宅の庭や近所の公園を少し注意深く見てみる。お気に入りの器を使ってみる。引き出しにしまい込んでいる手触りの良い布に触れてみる。普段当たり前だと思っているものの中に、心地よさや発見があるかもしれません。
- 五感を意識する: 美味しいと感じるものをゆっくり味わう。好きな音楽を聴く。肌触りの良いタオルを使う。花の香りを楽しむ。窓から見える景色をじっと眺める。五感を意識することで、日常の中にある小さな喜びを感じやすくなります。
- 「〜したい」という小さなつぶやきに耳を澄ます: 「少しお茶を飲みたいな」「あの本を少しだけ読みたいな」「窓の外をぼんやり眺めたいな」。そういった、心の中の小さな「したい」という気持ちは、実は楽しみの源泉です。
小さな楽しみをルーティンに加える方法
見つけた小さな楽しみを、どのように日々のルーティンに組み込めば良いのでしょうか。ここでも「簡単さ」と「無理のなさ」が鍵となります。
- 時間と場所を決める: 「いつ」「どこで」その楽しみを行うか、大まかに決めてみましょう。例えば、「朝食を終えた後、窓辺で5分だけ」「午後のひととき、好きな椅子に座って」などです。毎日同じ時間でなくても、例えば「火曜日の午前中」「土曜日の午後」のように、週に数回から始めるのも良い方法です。
- 「短い時間」から始める: 最初から長く時間を取ろうとすると、億劫になってしまうことがあります。たった3分、5分でも構いません。「今日はこれだけ」と区切りをつけ、短時間で終えることを意識します。
- 他の習慣と組み合わせる(アンカリング): 既に毎日行っていること(例えば、朝起きたら顔を洗う、食事の後片付けをするなど)の直後に、新しい楽しみ習慣を紐づけてみましょう。「顔を洗ったら、庭の草花を眺める」「後片付けが終わったら、好きな音楽を一曲だけ聴く」のように、「〜をしたら、次に△△をする」と決めることで、忘れにくく、習慣化しやすくなります。
- 記録してみる(任意): もしよろしければ、簡単に手帳などに「今日は〇〇をして楽しかった」と書き留めてみるのも良い方法です。記録することで、どんな時に自分が喜びを感じるかを知ることができ、また継続の励みにもなります。
具体的な「楽しみ習慣」の例
以下は、特別な道具や準備が不要で、手軽に始められる「小さな楽しみ習慣」の例です。ご自身の関心に合わせて、アレンジしてみてください。
- 一杯のお茶やコーヒーをゆっくり味わう: いつもの飲み物を、お気に入りのカップで、景色を眺めながら、ゆっくり時間をかけて飲む。
- 好きなページを少しだけ読む: 気になっている本や雑誌を、ほんの数ページだけ読む時間を設ける。
- 軽い手作業をする: 新聞の切り抜きをする、書き写しをする、手紙を書く、軽い手芸など、集中できる単純作業を行う。
- 窓の外を眺める: 天気の変化、雲の形、道行く人々など、ただぼんやりと外を眺める時間を持つ。
- 昔の写真を見る: アルバムを開いて、思い出の写真を数枚眺める。
- 植物の手入れをする: 観葉植物に水をやる、庭の草花を観察するなど、自然に触れる時間を持つ。
続けるための大切な考え方
新しい習慣を始める上で最も大切なのは、「完璧を目指さない」ということです。「毎日必ずやらないと」と気負う必要はありません。できなかった日があっても、「明日はまたやってみよう」と気持ちを切り替えることが大切です。
また、その時の気持ちや体調に合わせて、内容を少し変えたり、お休みしたりすることも大切です。「今日はなんだか気が乗らないな」という時は、無理せず別のことをしても良いのです。続けることよりも、「小さな楽しみを持つ」という考え方を大切にしてください。
おわりに
日々の生活に小さな楽しみを見つけ、それを習慣にすることは、大げさな変化をもたらすものではありません。しかし、その小さな積み重ねが、毎日にそっと彩りを添え、心を穏やかにしてくれることでしょう。
どうぞ、ご自身のペースで、無理なく、今日からできることから始めてみてください。あなたの毎日が、少しでも明るく、心満たされるものでありますように。